《私の本棚 第百五》   平成17年12月

   「五千回の生死」   宮本   

  

面白いですよと薦められました。新潮社発行の短編集で、表題の作品の他に八編が収められています。

初めて読む氏の作品、ウーン…何度か読み返しました。

すると作者の人生に対する暖かい眼差しと宗教観を感じることができました。

登場人物に「一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりするんや」とか、「三年ぶりにどうでもようなった」と

言わせたりする。もう死んでもいいと思う位の幸せ、苦悩の日々に生きることに疲れ切ってしまう不幸。

よし!生きるぞという再生。何故あれ程死にたかったのかと思う今。

  般若心経に、度一切苦厄と色不異空という言葉があります。四苦八苦という一切の苦しみを越えなさい。

形ある全てのものは滅び(死・無)、それゆえにまた生まれることができる(生・有)。

その中間にどちらでもない「空」があると教えます。

  他の作品も全て、普通の人の生と死を通じて温もりのある素顔の人生を見せてもらいました。

 

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南禅寺山門

 

 

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