《私の本棚 第六十二》  平成14年5月 

 
「ヰタ・セクスアリス」  森 鴎外 (参考) 

 

明治四十二年、雑誌「昴」に発表されましたが発禁処分になっています。この作品を発表するに当たり、自分の地位(後には

軍医総監になった)を賭けて相当な勇気をもって書いたそうです。

 自伝的小説で、十一歳になるまで津和野で生活をしその後父親と一緒に東京へ出ています。ヰタ・セクスアリスとはラテン語

で性的生活と訳されていますが、文中に散りばめられたドイツ語、フランス語、英語、更にはその内容や作者の地位からして、

当時としてはセンセーショナルなものだったのでしょう。

 話は主人公がドイツから取り寄せた書物の中に、性教育に関する研究報告があるのを見て、自分の性的生い立ちを書くとい

うものです。平成の時代に読むと作者の意とは別に、当時のヨーロッパがいかに進んでいたかとか、「学生は小倉の袴に紺足

袋を履いて袖は肩までたくし上げていないと軟弱と言われた。」ということのほうが面白く読めます。今ならダブダブのズボンをず

らせて、パンツを見せて歩いているというところでしょうか。

 この作品は兎も角として、教科書から鴎外の作品が消えるのはどうでしょうかね。

 

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