《私の本棚 第八》    1997年(平成9年)11月
 
     「小説十八史略」   陳舜臣 作
 
 有史以来の中国歴史数千年の出来事を物語として展開しています。堯・舜・禹の神話の時代から、歴史はどのように繰り

返されてきたかを 垣間見ることができます。有徳の治世が行われた時代、戦乱に明け暮れた時代、恐怖政治の行われた

時代、華やかな文化が発展した時代、それらが破壊された時代。当然ですが中国歴史小説の題材は、この中に殆ど現れ

てきます。一般庶民はその時代の為政者によって翻弄され、歴史の表舞台とは直接関わりのないところで国を支えていま

す。

  一つの企業を考えて見ても、同じことがいえると思います。トップの交代によって、外部からは伺い知ることの出来ない大

きなうねりが生じます。一見取るに足りないと思われるような仕事もあれば、いつもライトを浴びるような仕事もあることでし

ょう。同じ「血や汗や涙を流して仕事をする」といっても、その対象はお客様であり、上司であり、目の前に積まれた書類でも

あるのです。

  高々数千年くらいの歴史では、科学文明は大きく発展しても、人間の英知と言われるものはそれほど変わらないものだと

いうことを、この本は示唆しているように感じます。                             

                                        

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