《私の本棚 第八十三》      平成16年2月

  「シッダールタ」 ヘルマン・ヘッセ  

  

シッダールタとはお釈迦様の出家以前の名前です。漢字では「悉達多」としるし、シッドハ(成就したもの)とアールトハ(目的)と

の結びついた言葉であると言われています。ヘッセは20年以上もインド思想を研究しており、この本はインドで注目され12のインド

方言に翻訳されたそうです。

  シッダールタは厳しい修行の中で思索を深めて行く。「 人は何も学びえないということをさえまだ学びおえていない。われわれが

学ぶと称しているものは実際存在しない。そう僕は信じるのだ、君よ、ただ一つの知があるだけだ。それは至る所にある。それは

真我だ。それは私の中に、君の中に、あらゆるものの中にある。」と考え、修行者としての挫折を挟んで、「この水(川)は流れ流

れ、絶えず流れて、しかも常にそこに存在し、常にあり、終始同一であり、しかも瞬間瞬間に新たであった!ああ、これをとらえ理

解するものがあったら!」という境地に達していきます。

 この作品は作者の心の軌跡を告白したものといわれています。読んでいる最中の、不思議な清涼感は一体何なんでしょうか。

 

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