《私の本棚 第九十二》   平成16年11月 

 「耳なし芳一のはなし」 小 泉
 八 雲    著

  本名Lafcadio Hearn1850-1904)。ギリシャ人を母にアイルランド人を父にしてギリシャに生まれた。アイルランドで育ち、

フランスで学び、アメリカと西インドを放浪の後来日。松江だけではなく熊本大学と東京大学でも教鞭をとったことがある。

  

舞台は阿弥陀寺(現在の下関赤間神宮)。目前にある海峡の壇ノ浦で滅びた平家一門の怨霊が、右に出る者無き

芳一の琵琶の弾き語りに心酔し取り憑く。それを知った和尚は、芳一の全身に般若心経の経文を書くが、唯一書き忘れた

両耳をもぎ取られてしまいます。

  この話は、「書き忘れた耳を取られた」という部分は確かに映像的怪談ですが、栄耀栄華を極めた平家が、九州と指呼

の距離にある本州西端で滅びたこと。数百年を経て芳一が怨霊の心を揺さぶったこと。それ等を思いながら読むと、哀しくも

儚いこの世とあの世の魂の響き合いを感じます。

 

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壇ノ浦と関門橋

 

壇ノ浦と関門橋

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