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老発第214号
平成12年3月17日

  都道府県知事
各 指定都市市長 殿
  中核市市長

厚生省老人保健福祉局長

特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について

 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第17条第1項の規定に基づく特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(以下「基準」という。)については、平成11年3月31日付け厚生省令第46号をもって公布され、平成12年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。


目次(原文にはありません)
第1 一般的事項
第2 設備に関する事項
第3 職員に関する事項
第4 処遇に関する事項
第5 ユニット型特別養護老人ホーム
第6 一部ユニット型特別養護老人ホーム
第7 地域密着型特別養護老人ホーム
第8 ユニット型地域密着型特別養護老人ホーム
第9 一部ユニット型地域密着型特別養護老人ホーム

第1 一般的事項

1 基本方針

 基準第2条(基本方針)は、特別養護老人ホームが入所者の福祉を図るために必要な方針について総括的に規定したものである。
 なお、同条第1項中の「健全な環境」とは、当該特別養護老人ホームが、敷地の衛生及び安全等について定めた建築基準法(昭和25年法律第241号)第19条、第43条及び建築基準法施行令(昭和25年政令第348号)第128条の規定に定める要件を満たすとともに、入所者の生活を健全に維持するために、ばい煙、騒音、振動等による影響、交通、水利の便等を十分考慮して設置され、かつ、その設備が入所者の身体的、精神的特性に適合していることをいうものであり、「適切な処遇」とは、食事、健康管理、衛生管理、生活相談等における役務の提供や設備の供与が入所者の身体的、精神的特性を考慮して適切に行われることをいうものである。

2 構造設備の一般原則

 基準第3条(構造設備の一般原則)は、特別養護老人ホームの構造設備の一般原則について定めたものであり、特別養護老人ホームの配置、構造設備が本基準及び建築基準法等の関係諸規定に従うとともに日照、採光、換気等について十分考慮されたものとし、もって入所者の保健衛生及び防災の万全を期すべきことを趣旨とするものである。

3 設備の専用

 基準第4条(設備の専用)は、特別養護老人ホームに設け又は備えられる設備が必要に応じ直ちに使用できる状態になければならないので、原則として、これらを当該特別養護老人ホームの専用とすべきこととしたものであるが、同一敷地内に他の社会福祉施設が設置されている場合等であって、当該特別養護老人ホームの効果的な運営と入所者に対する適切な処遇が確保される場合には、入所者が日常継続的に使用する設備以外の調理室等の設備は、その一部についてただし書を適用して差し支えないこととしたものである。

4 職員の資格要件

(1)基準第5条(職員の資格要件)第1項及び第2項は、施設長及び生活相談員について、その有すべき資格を定めたものであるが、このうち「同等以上の能力を有すると認められる者」とは、社会福祉施設等に勤務し又は勤務したことのある者等であって、その者の実績等から一般的に、施設長にあっては特別養護老人ホームを適切に管理運営する能力を有すると認められる者、生活相談員にあっては、入所者の生活の向上を図るため適切な相談、援助等を行う能力を有すると認められる者をいう。
 なお、介護職員、調理員等については、資格の定めはないが、これら職員についてもそれぞれの職務を遂行する熱意と能力を有する者をもって充てること。

(2)同条第3項の「訓練を行う能力を有すると認められる者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、入所者の日常生活やレクリエーション、行事等を通じて行う機能訓練指導については、当該施設の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。

5 職員の専従

 基準第6条(職員の専従)は、職員の他の職業との兼業を禁止する趣旨のものではないが、入所者の処遇の万全を期すために、特別養護老人ホームの職員は当該施設の職務に専念すべきこととしたものである。したがって、特別養護老人ホームは、職員の採用及び事務分掌を決定するに当たっては、この点に留意すること。
 なお、ただし書の規定は、直接入所者の処遇に当たる生活相談員、介護職員及び看護職員については、機能訓練指導員及び介護保険法(平成9年法律第123号)に定める介護支援専門員並びに併設される短期入所生活介護事業における同職との兼務を除き、原則として適用されず、また、その他の職員についても同一敷地内に設置されている他の社会福祉施設等に兼ねて勤務する場合等であって、兼務によっても入所者の処遇に支障をきたさない場合に限り適用される。

6 運営規程

 基準第7条(運営規程)は、特別養護老人ホームの事業の適正な運営及び入所者に対する適切な処遇を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

(1)入所定員(第3号)

 入所定員は、特別養護老人ホームの専用の居室のベッド数(和室利用の場合は、当該居室の利用人員数)と同数とすること。

(2)入所者の処遇の内容及び費用の額(第4号)

 [1] 入所者の処遇の内容は、日常生活を送る上での一日当たりの日課やレクリエーション及び年間行事等を含めた処遇の内容を指すものであること。

 [2] 費用の額については、介護保険等の費用の内容のほか、日常生活等の上で入所者から支払を受ける費用の額を規定するものであること。

(3)施設の利用に当たっての留意事項(第5号)

 入所者が特別養護老人ホームを利用する際の、入所者側が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること。

(4)非常災害対策(第6号)

 次項に定める非常災害に関する具体的な計画を指すものであること。

(5)その他施設の運営に関する重要事項(第7号)

 当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続きについて定めておくことが望ましい。

7 非常災害対策

(1)基準第8条は、特別養護老人ホームは、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等その対策の万全を期さなければならないこととしたものである。

(2)「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法(昭和23年法律第186号)その他の法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならないものである。

(3)「関係機関への通報及び連携体制の整備」とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう職員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。
 また「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている特別養護老人ホームにあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている特別養護老人ホームにおいても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の策定等の業務を行わせるものとする。

8 記録の整備

 基準第9条(記録の整備)は、特別養護老人ホームの日々の運営及び財産並びに入所者の処遇の状況等に関する一切の事実を正確に記録し、常に当該特別養護老人ホームの実情を的確に把握するため、少なくとも次に掲げる記録を備えなければならないこととしたものである。

(1)運営に関する記録

 ア 事業日誌
 イ 沿革に関する記録
 ウ 職員の勤務状況、給与等に関する記録
 エ 条例、定款及び施設運営に必要な諸規程
 オ 重要な会議に関する記録
 カ 月間及び年間の事業計画及び事業実施状況表
 キ 関係官署に対する報告書等の文書綴

(2)入所者に関する記録

 ア 入所者名簿
 イ 入所者台帳(入所者の生活歴、病歴、入所前の居宅サービスの利用状況、処遇に関する事項その他必要な事項を記録したもの)
 ウ 入所者の処遇に関する計画
 エ 処遇日誌
 オ 献立その他食事に関する記録
 カ 入所者の健康管理に関する記録
 キ 当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等の態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
 ク 行った処遇に関する入所者及びその家族からの苦情の内容等の記録
 ケ 入所者の処遇により事故が発生した場合の事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

(3)会計経理に関する記録

 ア 収支予算及び収支決算に関する書類
 イ 金銭の出納に関する記録
 ウ 債権債務に関する記録
 エ 物品受払に関する記録
 オ 収入支出に関する記録
 カ 資産に関する記録
 キ 証拠書類綴

9 経理の原則

 特別養護老人ホームの運営に伴う収入及び支出は、経営主体である地方公共団体又は社会福祉法人の予算に必ず計上し、会計経理に当たっては、収支の状況を明らかにすること。

第2 設備に関する事項

1 設備の基準(基準第11条)

(1)特別養護老人ホームの建物は、入所者が身体的、精神的に著しい障害を有する者であることにかんがみ、入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除き耐火建築物としなければならない。ただし、入所者の日常生活に充てられる居室、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室を2階以上の階及び地下のいずれにも設けていない建物については、準耐火建築物とすることができる。

(2)「火災に係る入所者の安全性が確保されている」と認めるときは、次の点を考慮して判断されたい。

 [1] 基準第11条第2項各号の要件のうち、満たしていないものについても、一定の配慮措置が講じられていること。
 [2] 日常における又は火災時の火災に係る入所者の安全性の確保が、入所者が身体的、精神的に障害を有する者であることにかんがみてなされていること。
 [3] 管理者及び防火管理者は、当該特別養護老人ホームの建物の燃焼性に対する知識を有し、火災の際の危険性を十分認識するとともに、職員等に対して、火気の取扱いその他火災予防に関する指導監督、防災意識の高揚に努めること。
 [4] 定期的に行うこととされている避難等の訓練は、当該特別養護老人ホームの建物の燃焼性を十分に勘案して行うこと。

(3)特別養護老人ホームの設備は、当該特別養護老人ホームの運営上及び入所者の処遇上当然設けなければならないものであるが、同一敷地内に他の社会福祉施設が設置されている場合等であって、当該施設の設備を利用することにより特別養護老人ホームの効果的な運営が図られ、かつ、入所者の処遇に支障がない場合には、入所者が日常継続的に使用する設備以外の調理室等の設備について、その一部を設けないことができる。なお、特別養護老人ホームが利用する他の施設の当該設備については、本基準に適合するものでなければならない。

(4)便所等面積又は数の定めのない設備については、それぞれの設備のもつ機能を十分に発揮し得る適当な広さ又は数を確保するよう配慮すること。

(5)特別養護老人ホームにおける廊下の幅は、入所者の身体的、精神的特性及び非常災害時における迅速な避難、救出の確保を考慮して定められたものである。なお、「中廊下」とは、廊下の両側に居室、静養室等入所者の日常生活に直接使用する設備のある廊下をいう。

(6)特別養護老人ホームに設置する傾斜路は、入所者の歩行及び輸送車、車椅子等の昇降並びに災害発生時の避難、救出に支障がないようその傾斜はゆるやかにし、表面は、粗面又はすべりにくい材料で仕上げること。

(7)医務室は、入院施設を有しない診療所として医療法(昭和23年法律第205号)第7条第1項の規定に基づく都道府県知事の許可を得ること。

(8)調理室には、食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けること。

(9)汚物処理室は、他の設備と区分された一定のスペースを有すれば足りるものである。ただし、換気及び衛生管理等に十分配慮すること。

(10)焼却炉、浄化槽その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、居室、静養室、食堂及び調理室から相当の距離を隔てて設けること。

(11)居室、食堂及び機能訓練室の面積に係る基準は、すべて内法での測定によるものである。なお、居室等の面積に関する測定方法についてはこれまで明確化されていなかったことから、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令」(平成14年厚生労働省令第107号。以下「平成14年改正省令」という。)の施行の際現に存する居室等についてまで当てはめる趣旨ではない。

(12)廊下の幅は、内法によるものとし、手すりを含むものである。なお、廊下の幅に関する測定方法についてはこれまで明確化されていなかったことから、平成14年改正省令の施行の際現に存する廊下についてまで当てはめる趣旨ではない。

(13)経過措置(基準附則第2条、第3条、第4条)

 設備の基準については、以下の経過措置が設けられているので留意すること。

 [1] 汚物処理室に関する経過措置
  平成12年4月1日において現に存する特別養護老人ホームであって、児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令(昭和62年厚生省令第12号)附則第4条第1項(同令第4条の規定による改正後の養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(昭和41年厚生省令第19号)第18条第2項第16号の規定に係る部分に限る。)の規定の適用を受けていたものについては、第11条第3項第14号(汚物処理室)の規定は、当分の間適用しない。(附則第2条)

 [2] 一の居室の定員に関する経過措置
  イ 平成12年4月1日において現に存する特別養護老人ホームの建物(基本的な設備が完成しているものを含み、同日の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち一の居室の定員に関する基準「4人以下」については、「原則として4人以下」とする。(附則第3条第1項)
  ロ 平成12年4月1日において現に存する特別養護老人ホームであって、児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令附則第4条第2項(同令第4条の規定による改正後の養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準第20条の規定に係る部分に限る。)の規定の適用を受けていたものについては、設備基準のうち一の居室の定員に関する基準は「4人以下」については、「8人以下」とする。(附則第3条第2項)

 [3] 入所者1人当たりの居室の床面積に関する経過措置
  平成12年4月1日において現に存する特別養護老人ホームの建物(基本的な設備が完成しているものを含み、同日の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち入所者1人当たりの居室の床面積に関する基準「10.65平方メートル以上」については、「収納設備等を除き、4.95平方メートル以上」とする。(附則第3条第1項)

 [4] 入所者1人当たりの食堂及び機能訓練室の面積に関する経過措置
  平成12年4月1日において現に存する特別養護老人ホームの建物(基本的な設備が完成しているものを含み、同日の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち食堂及び機能訓練室の合計した面積「3平方メートルに入所定員を乗じて得た面積以上」の基準については、当分の間適用しない。(附則第4条)

第3 職員に関する事項

1 職員数

(1)職員については、適切な特別養護老人ホームの運営が確保されるよう、第12条に定めるところにより、それぞれ必要な職員数を確保すること。

(2)同条第1項に定める「他の社会福祉施設等の栄養士と連携を図ることにより当該特別養護老人ホームの効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、第5号の栄養士を置かないことができる。」とは、隣接の他の社会福祉施設や病院等の栄養士との兼務や地域の栄養指導員との連携を図ることにより、適切な栄養管理が行われている場合である。

(3)用語の定義

 [1] 「常勤換算方法」
  当該特別養護老人ホームの職員の勤務延時間数を当該特別養護老人ホームにおいて常勤の職員が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該特別養護老人ホームの職員の員数を常勤の職員の員数に換算する方法をいうものである。

 [2] 「勤務延時間数」
  勤務表上、当該特別養護老人ホームの職務に従事する時間として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、職員1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該特別養護老人ホームにおいて常勤の職員が勤務すべき勤務時間数を上限とする。

 [3] 「常勤」
  当該特別養護老人ホームにおける勤務時間が、当該特別養護老人ホームにおいて定められている常勤の職員が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。当該施設に併設される他の事業の職務であって、当該施設の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、特別養護老人ホームに老人デイサービスセンターが併設されている場合、特別養護老人ホームの施設長と老人デイサービスセンターの施設長を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間数に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

 [4] 「前年度の平均値」
  イ 基準第12条第2項における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の入所者延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
  ロ 新設(事業の再開の場合を含む。以下同じ。)又は増床分のベッドに関して、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の入所者数は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、ベッド数の90%を入所者数とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における入所者延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における入所者延数を1年間の日数で除して得た数とする。
  ハ 減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の入所者延数を延日数で除して得た数とする。

(4)サテライト型居住施設には、医師又は調理員、事務員その他の職員(以下「医師等」という。)を置かないことができる場合があるが、その場合には、本体施設の入所者とサテライト型居住施設の入所者の合計数を基礎として本体施設に置くべき医師等の人員を算出しなければならない。例えば、本体施設の入所者数を80名、サテライト型居住施設の入所者数を29名とすると、サテライト型居住施設に医師等を置かない場合には、合計数である109名を基礎として本体施設の医師等の人員を算出することとする。

第4 処遇に関する事項

1 入退所

(1)基準第13条第2項及び第3項は、特別養護老人ホームが要介護者のうち、入所して介護を受けることが必要な者を対象としていることにかんがみ、退所して居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討しなければならないこととしたものである。
 なお、上記の検討は、生活相談員、看護・介護職員、介護支援専門員等により行うこと。

(2)同条第4項は、上記の検討の結果、居宅での生活が可能と判断される入所者に対し、退所に際しての本人又は家族等に対する家族での介護方法等に関する適切な指導、居宅介護支援事業者等に対する情報提供等の必要な援助をすることを規定したものである。なお、安易に施設側の理由により退所を促すことのないよう留意する。
 また、退所が可能になった入所者の退所を円滑に行うために、介護支援専門員及び生活相談員が中心となって、退所後の主治の医師及び介護支援専門員等並びに市町村と十分連携を図ること。

2 入所者の処遇に関する計画(基準第14条)

(1)入所者の処遇に関する計画(以下「処遇計画」という。)の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを入所者に強制することとならないように留意するものとする。

(2)当該処遇計画の内容には、当該施設の行事及び日課等も含むものである。

(3)当該処遇計画は、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第12条に定める「施設サービス計画」と同様のもので差し支えない。

3 処遇の方針

(1)基準第15条第3項で定める「処遇上必要な事項」とは、処遇計画の目標及び内容や行事及び日課等も含むものである。

(2)同条第4項及び第5項は、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
 なお、基準第9条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。

4 介護(基準第16条)

(1)介護の提供に当たっては、入所者の人格に十分配慮し、処遇計画の目標等を念頭において行うことが基本であり、自立している機能の低下が起きないようにするとともに残存機能の維持向上が図られるよう適切な技術をもって介護を提供し、又は必要な支援を行うものとすること。

(2)入浴は、入所者の心身の状況や自立支援を踏まえて、適切な方法により実施するものとする。
なお、入浴の実施に当たっては、事前に健康管理を行い、入浴することが困難な場合は、清しきを実施するなど入所者の清潔保持に努めるものとする。

(3)排せつの介護は、入所者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。

(4)入所者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、入所者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。

(5)「特別養護老人ホームは、褥じょく瘡そうが発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。」とは、施設において褥瘡の予防のための体制を整備するとともに、介護職員等が褥瘡に関する基礎的知識を有し、日常的なケアにおいて配慮することにより、褥瘡発生の予防効果を向上させることを想定している。例えば、次のようなことが考えられる。
 イ 当該施設における褥瘡のハイリスク者(日常生活自立度が低い入所者等)に対し、褥瘡予防のための計画の作成、実践並びに評価をする。
 ロ 当該施設において、専任の施設内褥瘡予防対策を担当する者(看護師が望ましい。)を決めておく。
 ハ 医師、看護職員、介護職員、栄養士等からなる褥瘡対策チームを設置する。
 ニ 当該施設における褥瘡対策のための指針を整備する。
 ホ 介護職員等に対し、褥瘡対策に関する施設内職員継続教育を実施する。
 また、施設外の専門家による相談、指導を積極的に活用することが望ましい。

(6)特別養護老人ホームは、入所者にとって生活の場であることから、通常の1日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など入所者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うものとする。

(7)同条第7項の「常時1人以上の常勤の介護職員を介護に従事させる」とは、夜間を含めて適切な介護を提供できるように介護職員の勤務体制を定めておくとともに、2以上の介護職員の勤務体制を組む場合は、それぞれの勤務体制において常時1人以上の常勤の介護職員の配置を行わなければならないことを規定したものである。
 なお、介護の提供に当たっては、提供内容に応じて、職員体制を適切に組むものとする。

5 食事(基準第17条)

 食事の提供は、次の点に留意して行うものとする。

(1)食事の提供について

 入所者の心身の状況・嗜好に応じて適切な栄養量及び内容とすること。
 また、入所者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならないこと。

(2)調理について

 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
 また、病弱者に対する献立については、必要に応じ、医師の指導を受けること。

(3)適時の食事の提供について

 食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後六時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。

(4)食事の提供に関する業務の委託について
 食事の提供に関する業務は特別養護老人ホーム自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について施設自らが行う等、当該施設の施設長が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該施設の最終的責任の下で第三者に委託することができること。

(5)居室関係部門と食事関係部門との連携について

 食事提供については、入所者の嚥えん下や咀嚼そしゃくの状況、食欲など心身の状態等を当該入所者の食事に的確に反映させるために、居室関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。

(6)栄養食事相談

 入所者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。

(7)食事内容の検討について

 食事内容については、当該施設の医師又は栄養士(入所定員が40人を超えない特別養護老人ホームであって、栄養士を配置していない施設においては連携を図っている他の社会福祉施設等の栄養士)を含む会議において検討が加えられなければならないこと。

6 相談及び援助

 基準第18条に定める相談及び援助は、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に入所者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。

7 社会生活上の便宜の提供等

(1)基準第19条第1項は特別養護老人ホームが画一的なサービスを提供するのではなく、入所者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を通じて充実した日常生活を送ることができるよう努めることとしたものである。

(2)同条第2項は、特別養護老人ホームは、郵便、証明書等の交付申請等、入所者が必要とする手続等について、入所者又はその家族が行うことが因難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭にかかるものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。併せてこれらについては、その経過を記録しておくこと。

(3)同条第3項は、特別養護老人ホームは、入所者の家族に対し、当該施設の会報の送付、当該施設が実施する行事への参加の呼びかけ等によって入所者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。また、入所者と家族の面会の場所や時間等についても、入所者やその家族の利便に配慮したものとするよう努めなければならない。

(4)同条第4項は、特別養護老人ホームは、入所者の生活を当該施設内で完結させてしまうことのないよう、入所者の希望や心身の状況を踏まえながら、買物や外食、図書館や公民館等の公共施設の利用、地域の行事への参加、友人宅の訪問、散歩など、入所者に多様な外出の機会を確保するよう努めなければならないこととするものである。

8 機能訓練

 基準第20条に定める機能訓練は、機能訓練室における機能訓練に限るものではなく、日常生活の中での機能訓練やレクリエーション、行事の実施等を通じた機能訓練を含むものであり、これらについても十分に配慮しなければならない。

9 健康管理

(1)基準第21条第1項は、健康管理が、医師及び看護職員の業務であることを明確にしたものである。

(2)同条第2項で定める定期健康診断などの状況については、その入所者の老人保健法(昭和57年法律第80号)の健康手帳の所要の記入欄に、健康診断の状況や健康管理上特記する必要がある事項を記載するものとする。これらは、医療を受けた場合や在宅に復帰した後に特別養護老人ホームでの入所者の健康管理状況を把握できるようにすることをねらいとしているものである。

(3)特別養護老人ホームは、入所者が身体的、精神的に著しい障害を有する者であることにかんがみ、常に健康の状況に注意し、疾病の早期発見、予防等健康保持のための適切な措置をとるよう努めること。

10 入所者の入院期間中の取扱い

(1)基準第22条に定める「退院することが明らかに見込まれるとき」に該当するか否かは、入所者の入院先の病院又は診療所の当該主治医に確認するなどの方法により判断すること。

(2)「必要に応じて適切な便宜を提供」とは、入所者及びその家族の同意の上での入退院の手続きや、その他の個々の状況に応じた便宜を図ることを指すものである。

(3)「やむを得ない事情がある場合」とは、単に当初予定の退院日に満床であることをもって該当するものではなく、例えば、入所者の退院が予定より早まるなどの理由により、ベッドの確保が間に合わない場合等を指すものである。施設側の都合は、基本的には該当しないことに留意すること。なお、上記の例示の場合であっても、再入所が可能なベッドの確保が出来るまでの間、短期入所生活介護の利用を検討するなどにより、入所者の生活に支障を来さないよう努める必要がある。

(4)入所者の入院期間中のベッドは、短期入所生活介護事業等に利用しても差し支えないが、当該入所者が退院する際に円滑に再入所できるよう、その利用は計画的なものでなければならない。

11 勤務体制の確保等

 基準第24条は、入所者に対する適切な処遇の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。

(1)同条第1項は、特別養護老人ホームごとに、原則として月ごとに勤務表(建物の構造等から、夜勤を含めた介護の勤務体制を2以上で行い、その勤務体制ごと勤務表を定めている場合は、その勤務表。)を作成し、職員の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、介護職員及び看護職員等の配置、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。

(2)職員の勤務体制を定めるもののうち、介護職員の勤務体制については、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」により、3交代制を基本とするが、入所者の処遇が確保される場合は、2交代制勤務もやむを得ないものとすること。併せて、同通知に定める宿直員を配置すること。

(3)同条第2項は、特別養護老人ホームは、原則として、当該施設の職員によって処遇を提供すべきであるが、調理業務、洗濯等の入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

(4)同条第3項は、当該特別養護老人ホームの職員の資質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該施設内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。

(5)労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第50条又は地方公共団体の実施する方法に従って、職員の健康診断を行うこと。

12 衛生管理等

(1)基準第26条第1項は、特別養護老人ホームの必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。

 [1] 調理及び配膳に伴う衛生は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等関係法規に準じて行われなければならない。
  なお、食事の提供に使用する食器等の消毒も適正に行われなければならないこと。

 [2] 水道法(昭和32年法律第177号)の適用されない小規模の水道についても、市営水道、専用水道等の場合と同様、水質検査、塩素消毒法等衛生上必要な措置を講ずること。

 [3] 常に施設内外を清潔に保つとともに、毎年1回以上大掃除を行うこと。

 [4] 食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。

 [5] 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。

 [6] 定期的に、調理に従事する者の検便を行うこと。

 [7] 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

(2)基準第26条第2項に規定する感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次の[1]から[4]までの取扱いとすること。

 [1] 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
  当該施設における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、栄養士、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、入所者の状況など施設の状況に応じ、おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
  なお、感染対策委員会は、運営委員会など施設内の他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、基準省令第31条第1項第3号に規定する事故発生の防止のための委員会については、関係する職種、取り扱う事項等が感染対策委員会と相互に関係が深いと認められることから、これと一体的に設置・運営することも差し支えない。感染対策担当者は看護師であることが望ましい。
  また、施設外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。

 [2] 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
  当該施設における「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
  平常時の対策としては、施設内の衛生管理(環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等)、日常のケアにかかる感染対策(標準的な予防策(例えば、血液・体液・分泌液・排泄物(便)などに触れるとき、傷や創傷皮膚に触れるときどのようにするかなどの取り決め)、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における施設関係課等の関係機関との連携、医療処置、行政への報告等が想定される。また、発生時における施設内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
  なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html)を参照されたい。

 [3] 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修
  介護職員その他の職員に対する「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該施設における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
  職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要である。また、調理や清掃などの業務を委託する場合には、委託を受けて行う者に対しても、施設の指針が周知されるようにする必要がある。
  また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。

 [4] 施設は、入所予定者の感染症に関する事項も含めた健康状態を確認することが必要であるが、その結果感染症や既往であっても、一定の場合を除き、サービス提供を断る正当な理由には該当しないものである。こうした者が入所する場合には、感染対策担当者は、介護職員その他の職員に対し、当該感染症に関する知識、対応等について周知することが必要である。

13 協力病院等

(1)特別養護老人ホームは、入所者が身体的、精神的に著しい障害を有するため入院治療等を必要とする場合が極めて多いことにかんがみ、これらの者に対する医療的処遇を円滑に行うことができる1以上の協力病院をあらかじめ定めておくこと。併せて、入所者の口腔衛生等の観点から協力歯科医療機関についても、あらかじめ定めることが望ましい。

(2)基準第27条第1項の協力病院及び第2項の協力歯科医療機関は、特別養護老人ホームから近距離にあることが望ましい。

14 秘密保持等

(1)基準第28条第1項は、特別養護老人ホームの職員に、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。

(2)同条第2項は、特別養護老人ホームに対して、過去に当該特別養護老人ホームの職員であった者が、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、特別養護老人ホームは、当該特別養護老人ホームの職員が、職員でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、職員の雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めを置くなどの措置を講ずべきこととするものである。

15 苦情処理

(1)基準第29条第1項にいう「必要な措置」とは、苦情を受け付けるための窓口を設置することのほか、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該施設における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、これを入所者又はその家族にサービスの内容を説明する文書に記載するとともに、施設に掲示すること等である。

(2)同条第2項は、苦情に対し特別養護老人ホームが組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(特別養護老人ホームの提供するサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務づけたものである。
 また、特別養護老人ホームは、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。
 なお、基準第9条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、2年間保存しなければならない。

16 地域との連携等

(1)基準第30条第1項は、特別養護老人ホームが地域に開かれたものとして運営されるよう、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流を図らなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、基準第2条第4項の趣旨に基づき、介護相談員を積極的に受け入れる等、市町村との密接な連携に努めることを規定したものである。
 なお、「市町村が実施する事業」には、介護相談員派遣事業のほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。

17 事故発生の防止及び発生時の対応(基準第31条)

(1)事故発生の防止のための指針(第1項第1号)
特別養護老人ホームが整備する「事故発生の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
 [1] 施設における介護事故の防止に関する基本的考え方
 [2] 介護事故の防止のための委員会その他施設内の組織に関する事項
 [3] 介護事故の防止のための職員研修に関する基本方針
 [4] 施設内で発生した介護事故、介護事故には至らなかったが介護事故が発生しそうになった場合(ヒヤリ・ハット事例)及び現状を放置しておくと介護事故に結びつく可能性が高いもの(以下「介護事故等」という。)の報告方法等の介護に係る安全の確保を目的とした改善のための方策に関する基本方針
 [5] 介護事故等発生時の対応に関する基本方針
 [6] 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
 [7] その他介護事故等の発生の防止の推進のために必要な基本方針

(2)事実の報告及びその分析を通じた改善策の職員に対する周知徹底(第1項第2号)

 特別養護老人ホームが、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、介護事故等について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して職員の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
 具体的には、次のようなことを想定している。
 [1] 介護事故等について報告するための様式を整備すること。
 [2] 介護職員その他の職員は、介護事故等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、[1]の様式に従い、介護事故等について報告すること。
 [3] (3)の事故発生の防止のための委員会において、[2]により報告された事例を集計し、分析すること。
 [4] 事例の分析に当たっては、介護事故等の発生時の状況等を分析し、介護事故等の発生原因、結果等をとりまとめ、防止策を検討すること。
 [5] 報告された事例及び分析結果を職員に周知徹底すること。
 [6] 防止策を講じた後に、その効果について評価すること。

(3)事故発生の防止のための委員会(第1項第3号)

 特別養護老人ホームにおける「事故発生の防止のための検討委員会」(以下「事故防止検討委員会」という。)は、介護事故発生の防止及び再発防止のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の安全対策を担当する者を決めておくことが必要である。
 なお、事故防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、感染対策委員会については、関係する職種、取り扱う事項等が事故防止検討委員会と相互に関係が深いと認められることから、これと一体的に設置・運営することも差し支えない。事故防止対策委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。
 また、事故防止検討委員会に施設外の安全対策の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。

(4)事故発生の防止のための職員に対する研修(第1項第3号)

 介護職員その他の職員に対する事故発生の防止のための研修の内容としては、事故発生防止の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該特別養護老人ホームにおける指針に基づき、安全管理の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該特別養護老人ホームが指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず事故発生の防止の研修を実施することが重要である。
 また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。

(5)損害賠償(第3項)

 特別養護老人ホームは、賠償すべき事態となった場合には、速やかに賠償しなければならない。そのため、損害賠償保険に加入しておくか若しくは賠償資力を有することが望ましい。

第5 ユニット型特別養護老人ホーム

1 第3章の趣旨

 「ユニット型」の特別養護老人ホームは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位とを一致させたケアであるユニットケアを行うことに特徴があり、これまで「居住福祉型」と称してきたものを、その特徴をよりわかりやすく表す観点から改めたものである。
 こうしたユニット型特別養護老人ホームのケアは、これまでの特別養護老人ホームのケアと大きく異なることから、その基本方針並びに設備及び運営に関する基準については、第2章ではなく、第3章に定めるところによるものである。なお、人員に関する基準については、基準第12条に定めるところによるので、留意すること。

2 基本方針

 基準第33条(基本方針)は、ユニット型特別養護老人ホームがユニットケアを行うものであることを規定したものである。
 その具体的な内容に関しては、基準第36条以下に、サービスの取扱方針、介護、食事など、それぞれについて明らかにしている。

3 運営規程(基準第34条)

(1)入居者へのサービスの提供の内容及び費用の額(第5号)

 [1] 入居者へのサービスの提供の内容は、入居者が、自らの生活様式や生活習慣に沿って自律的な日常生活を営むことができるように、1日の生活の流れの中で行われる支援の内容を指すものであること。

 [2] 費用の額については、介護保険等の費用の内容のほか、ユニットの提供を行うことに伴い必要となる費用、日常生活等の上で入居者から支払を受ける費用の額を規定するものであること。

(2)第1の6の(1)及び(3)から(5)までは、ユニット型特別養護老人ホームについて準用する。この場合において、第1の6中「第7条」とあるのは「第34条」と、「同条第1号から第7号まで」とあるのは「同条第1号から第8号まで」と、同(3)中「第5号」とあるのは「第6号」と、同(4)中「第6号」とあるのは「第7号」と、同(5)中「第7号」とあるのは「第8号」と読み替えるものとする。

4 設備の基準(基準第35条)

(1)ユニットケアを行うためには、入居者の自律的な生活を保障する居室(使い慣れた家具等を持ち込むことのできる個室)と、少人数の家庭的な雰囲気の中で生活できる共同生活室(居宅での居間に相当する部屋)が不可欠であることから、ユニット型特別養護老人ホームは、施設全体を、こうした居室と共同生活室によって一体的に構成される場所(ユニット)を単位として構成し、運営しなければならない。

(2)基準第35条第3項第1号に掲げている「ユニット」は、居室及び共同生活室のほか、洗面設備及び便所を含むものである。

(3)入居者が、自室のあるユニットを超えて広がりのある日常生活を楽しむことができるよう、他のユニットの入居者と交流したり、多数の入居者が集まったりすることのできる場所を設けることが望ましい。

(4)ユニット(第4項第1号)
ユニットは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うというユニットケアの特徴を踏まえたものでなければならない。

(5)居室(第1号イ)

 [1] 上記(1)のとおりユニットケアには個室が不可欠なことから、居室の定員は1人とする。ただし、夫婦で居室を利用する場合などサービスの提供上必要と認められる場合は、2人部屋とすることができる。

 [2] 居室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けなければならない。
  この場合、「当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設け」られる居室とは、次の3つをいう。
  (ア)当該共同生活室に隣接している居室
  (イ)当該共同生活室に隣接してはいないが、(ア)の居室と隣接している居室
  (ウ)その他当該共同生活室に近接して一体的に設けられている居室(他の共同生活室の(ア)及び(イ)に該当する居室を除く。)

 [3] ユニットの入居定員
  ユニット型特別養護老人ホームは、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するものであることから、一のユニットの入居定員は、10人以下とすることを原則とする。
  ただし、敷地や建物の構造上の制約など特別の事情によりやむを得ない場合であって、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するのに支障がないと認められる場合には、入居定員が10人を超えるユニットも認める。なお、この場合にあっても、次の2つの要件を満たさなければならない。
  (ア)入居定員が10人を超えるユニットにあっては、「おおむね10人」と言える範囲内の入居定員であること。
  (イ)入居定員が10人を超えるユニットの数は、当該施設の総ユニット数の半数以下であること。

 [4] ユニットの入居定員に関する既存施設の特例
  平成15年4月1日に現に存する特別養護老人ホーム(建築中のものを含む。)が、その建物を同日以降に改修してユニットを造る場合にあっては、施設を新増築したり、改築したりする場合に比べて、現にある建物の構造や敷地などの面で、より大きな制約が想定されることから、上記[3]の(イ)の要件は適用しない。
  また、平成15年4月1日に現に存する特別養護老人ホーム(建築中のものを含む。)が同日において現にユニットを有している(建築中のものを含む。)場合は、当該ユニットについては、上記[3]は適用しない。ただし、当該ユニットが改築されたときは、この限りでない。

 [5] 居室の床面積等
  ユニット型特別養護老人ホームでは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うため、入居者は長年使い慣れた箪笥たんすなどの家具を持ち込むことを想定しており、居室は次のいずれかに分類される。
  イ ユニット型個室
   床面積は、13.2平方メートル以上(居室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、居室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)を標準とするとともに、身の回りの品を保管することができる設備は、必要に応じて備えれば足りることとする。
   ここで「標準とする」とは、13.2平方メートル以上とすることが原則であるが、平成15年4月1日に現に存する特別養護老人ホームが、その建物を同日以降平成17年9月30日までに改修してユニットを造る場合に、現にある建物の構造や敷地上の制約など特別の事情によって当該面積を確保することが困難であると認められるときには、上記の趣旨を損なわない範囲で、13.2平方メートル未満であっても差し支えないという趣旨である。
   なお、平成15年4月1日に現に存する特別養護老人ホームが同日において現に有しているユニット(同日以降に改築されたものを除く。)にあっては、10.65平方メートル以上であれば足りるものとする。
   また、入居者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル以上を標準としていることについても、上記と同様の趣旨である。
  ロ ユニット型準個室
   ユニットに属さない居室を改修してユニットを造る場合であり、床面積は、10.65平方メートル以上(居室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、居室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)とするとともに、身の回りの品を保管することができる設備は、必要に応じて備えれば足りることとする。この場合にあっては、入居者同士の視線が遮断され、入居者のプライバシーが十分に確保されていれば、天井と壁との間に一定の隙間が生じていても差し支えない。
   壁については、家具等のように可動のもので室内を区分しただけのものは認められず、可動でないものであって、プライバシーの確保のために適切な素材であることが必要である。
   居室であるためには、一定程度以上の大きさの窓が必要であることから、多床室を仕切って窓のない居室を設けたとしても準個室としては認められない。
   また、居室への入口が、複数の居室で共同であったり、カーテンなどで仕切られているに過ぎないような場合には、十分なプライバシーが確保されているとはいえず、準個室としては認められないものである。
   入居者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル以上を標準としていることについては、21.3平方メートル以上とすることが原則であるが、平成15年4月1日に現に存する特別養護老人ホームが、その建物を同日以降に改修してユニットを造る場合に、現にある建物の構造や敷地上の制約など特別の事情によって当該面積を確保することが困難であると認められるときには、上記の趣旨を損なわない範囲で、21.3平方メートル未満であっても差し支えないという趣旨である。
なお、ユニットに属さない居室を改修してユニットを造る場合に、居室がイの要件を満たしていれば、ユニット型個室に分類される。

(6)共同生活室(第1号ロ)

 [1] 共同生活室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの入居者が交流し、共同で日常生活を営むための場所としてふさわしい形状を有するものでなければならない。このためには、次の2つの要件を満たす必要がある。
 (ア)他のユニットの入居者が、当該共同生活室を通過することなく、施設内の他の場所に移動することができるようになっていること。
 (イ)当該ユニットの入居者全員とその介護等を行う職員が一度に食事をしたり、談話等を楽しんだりすることが可能な備品を備えた上で、当該共同生活室内を車椅子が支障なく通行できる形状が確保されていること。

 [2] 共同生活室の床面積
  共同生活室の床面積について「標準とする」とされている趣旨は、居室の床面積について上記(5)の[5]にあるのと同様である。

 [3] 共同生活室には、介護を必要とする者が食事をしたり、談話等を楽しんだりするのに適したテーブル、椅子等の備品を備えなければならない。
  また、入居者が、その心身の状況に応じて家事を行うことができるようにする観点から、簡易な流し・調理設備を設けることが望ましい。

(7)洗面設備(第1号ハ)

 洗面設備は、居室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1ヶ所に集中して設けるのではなく、2ヶ所以上に分散して設けることが望ましい。なお、居室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。

(8)便所(第1号ニ)

 便所は、居室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1ヶ所に集中して設けるのではなく、2ヶ所以上に分散して設けることが望ましい。なお、居室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。

(9)浴室(第2号)

 浴室は、居室のある階ごとに設けることが望ましい。

(10)廊下(第6項第1号)

 ユニット型特別養護老人ホームにあっては、多数の入居者や職員が日常的に一度に移動することはないことから、廊下の幅の一律の規制を緩和する。
 ここでいう「廊下の一部の幅を拡張することにより、入居者、職員等の円滑な往来に支障が生じないと認められる場合」とは、アルコーブを設けることなどにより、入居者、職員等がすれ違う際にも支障が生じない場合を想定している。
このほか、ユニット型特別養護老人ホームの廊下の幅については、第2の1の(5)を準用する。この場合において、第2の1の(5)中「静養室」とあるのは「共同生活室」と読み替えるものとする。

(11)ユニット型特別養護老人ホームの設備については、前記の(1)から(10)までによるほか、第2の1の規定((5)及び(13)を除く。)を準用する。この場合において、第2の1の(1)中「静養室、食堂、浴室及び機能訓練室」とあるのは「共同生活室及び浴室」と、同(10)中「静養室、食堂」とあるのは「共同生活室」と、同(11)中「、食堂及び機能訓練室」とあるのは「及び共同生活室」と読み替えるものとする。

5 サービスの取扱方針

(1)基準第36条第1項は、第33条第1項の基本方針を受けて、入居者へのサービスの提供は、入居者が自律的な日常生活を営むことができるよう支援するものとして行われなければならないことを規定したものである。
 入居者へのサービスの提供に当たっては、入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮することが必要であり、このため職員は、一人一人の入居者について、個性、心身の状況、入居に至るまでの生活歴とその中で培われてきた生活様式や生活習慣を具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助しなければならない。
 なお、こうしたことから明らかなように、入居者の意向に関わりなく集団で行うゲームや、日常生活動作にない動作を通じた機能訓練など、家庭の中では通常行われないことを行うのは、サービスとして適当でない。

(2)基準第36条第2項は、第33条第1項の基本方針を受けて、入居者へのサービスの提供は、入居者がユニットにおいて相互に社会的関係を築くことができるよう、それぞれ役割を持って生活を営めるように配慮して行われなければならないことを規定したものである。
 このため職員は、入居者相互の信頼関係が醸成されるよう配慮することが必要であるが、同時に、入居者が他の入居者の生活に過度に干渉し、自律的な生活を損なうことのないようにすることにも配慮が必要である。

6 介護

(1)基準第37条第1項は、介護が、第36条第1項及び第2項のサービスの取扱方針を受けた適切な技術をもって行われなければならないことを規定したものである。
 自律的な日常生活を営むことを支援するという点では、入居者の日常生活上の活動への援助が過剰なものとなることのないよう留意する必要がある。
 また、入居者が相互に社会的関係を築くことを支援するという点では、単に入居者が家事の中で役割を持つことを支援するにとどまらず、例えば、入居者相互の間で、頼り、頼られるといった精神的な面での役割が生まれることを支援することにも留意する必要がある。

(2)基準第37条第2項の「日常生活における家事」には、食事の簡単な下準備や配膳、後片付け、清掃やゴミ出しなど、多様なものが考えられる。

(3)基準第37条第3項は、入浴が、単に身体の清潔を維持するだけでなく、入居者が精神的に快適な生活を営む上でも重要なものであることから、こうした観点に照らして「適切な方法により」これを行うこととするとともに、同様の観点から、一律の入浴回数を設けるのではなく、個浴の実施など入居者の意向に応じることができるだけの入浴機会を設けなければならないことを規定したものである。

(4)ユニット型特別養護老人ホームにおける介護については、上記の(1)から(3)までによるほか、第4の4の(3)から(7)までを準用する。この場合において、第4の4の(7)中「同条第7項」とあるのは「第37条第8項」と読み替えるものとする。

7 食事

(1)基準第38条第3項は、第36条第1項のサービスの取扱方針を受けて、食事は、入居者の生活習慣を尊重した適切な時間に提供しなければならないこと、また、施設側の都合で急かしたりすることなく、入居者が自分のペースで食事を摂ることができるよう十分な時間を確保しなければならないことを規定したものである。
(2)基準第38条第4項は、第33条第1項の基本方針を受けて、入居者の意思を尊重し、また、その心身の状況に配慮した上で、できる限り離床し、共同生活室で食事を摂ることができるよう支援しなければならないことを規定したものである。
その際、共同生活室で食事を摂るよう強制することはあってはならないので、十分留意する必要がある。
(3)ユニット型特別養護老人ホームにおける食事については、上記の(1)及び(2)によるほか、第4の5の(1)から(7)までを準用する。

8 社会生活上の便宜の提供等

(1)基準第39条第1項は、第36条第1項のサービスの取扱方針を受けて、入居者一人一人の嗜好を把握した上で、それに応じた趣味、教養又は娯楽に係る活動の機会を提供するとともに、同好会やクラブ活動などを含め、入居者が自律的に行うこれらの活動を支援しなければならないことを規定したものである。

(2)ユニット型特別養護老人ホームの居室は、家族や友人が来訪・宿泊して入居者と交流するのに適した個室であることから、これらの者ができる限り気軽に来訪・宿泊することができるよう配慮しなければならない。

(3)ユニット型特別養護老人ホームにおける社会生活上の便宜の提供等については、上記の(1)及び(2)によるほか、第4の7の(2)から(4)までを準用する。この場合において、第4の7の(2)中「同条第2項」とあるのは「第39条第2項」と、同(3)中「同条第3項」とあるのは「第39条第3項」と、同(4)中「同条第4項」とあるのは「第39条第4項」と読み替えるものとする。

9 勤務体制の確保等

(1)基準第40条第2項は、第36条第1項のサービスの取扱方針を受けて、職員の勤務体制を定めるに当たっては、継続性を重視したサービスの提供に配慮しなければならないことを規定したものである。
 これは、職員が、一人一人の入居者について、個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助するためには、いわゆる「馴染みの関係」が求められることによるものである。

(2)ユニット型特別養護老人ホームにおいて配置を義務付けることとしたユニットごとの常勤のユニットリーダーについては、当面は、ユニットケアリーダー研修を受講した職員(以下「研修受講者」という。)を各施設(一部ユニット型の施設も含む。)に2名以上配置する(ただし、2ユニット以下の施設の場合には、1名でよいこととする。)ほか、研修受講者が配置されているユニット以外のユニットでは、ユニットにおけるケアに責任を持つ(研修受講者でなくても構わない。)職員を決めてもらうことで足りるものとする。
 この場合、研修受講者は、研修で得た知識等をリーダー研修を受講していないユニットの責任者に伝達するなど、当該施設におけるユニットケアの質の向上の中核となることが求められる。
 また、平成18年4月1日の時点でリーダー研修を修了した者が2名に満たない施設については、平成19年3月31日までの間に満たせばよいこととする。
 なお、今後の研修受講者の状況等を踏まえた上で、配置基準を再検討する予定であるので、この当面の基準にかかわらず、多くの職員について研修を受講していただくよう配慮をお願いしたい。

(3)ユニット型特別養護老人ホームにおける勤務体制の確保等については、上記の(1)及び(2)によるほか、第4の11を準用する。この場合において、第4の11中「第24条」とあるのは「第40条」と、同(3)中「同条第2項」とあるのは「同条第3項」と、同(4)中「同条第3項」とあるのは「同条第4項」と読み替えるものとする。

10 準用

 基準第42条の規定により、第3条から第6条まで、第8条、第9条、第12条の2から第14条まで、第18条、第20条から第23条まで、第26条から第31条までの規定は、ユニット型特別養護老人ホームについて準用されるものであるため、第1の2から5まで及び7から9まで、並びに第4の1、2((2)を除く。)、6、8から10まで及び12から17までを参照すること。

第6 一部ユニット型特別養護老人ホーム

1 第4章の趣旨

 平成15年4月1日に現に存する特別養護老人ホーム(建築中のものを含む。)が、その建物を同日以降に改修、改築又は増築して施設の一部にユニットを造り、ユニットケアを行う場合、また、同日において現に存する特別養護老人ホーム(建築中のものを含む。)が同日において現に有している(建築中のものを含む。)ユニットで施設の一部においてユニットケアを行う場合は、これを一部ユニット型特別養護老人ホームとし、その基本方針並びに設備及び運営に関する基準については、第2章ではなく、第4章に定めるところによるものである。なお、人員に関する基準については、基準第12条に定めるところによるので、留意すること。

2 基本方針

 基準第44条は、一部ユニット型特別養護老人ホームの基本方針は、ユニット部分にあってはユニット型特別養護老人ホームの基本方針(基準第33条)に、また、それ以外の部分にあっては特別養護老人ホームの基本方針(基準第2条)に定めるところによることを規定したものである。
 これを受けて、設備、サービスの取扱方針、介護、食事、社会生活上の便宜の提供等、勤務体制の確保等及び定員の遵守について、基準第46条から第52条までに、ユニット部分の基準とそれ以外の部分の基準を規定している。

3 運営規程(基準第45条)

 入居(入所)定員並びにサービスの提供の内容及び費用の額については、ユニット部分とそれ以外の部分のそれぞれについて明らかにしなければならない。

4 職員の配置の基準等

(1)基準第12条第1項第4号イに規定する基準は、ユニット部分とそれ以外の部分のそれぞれで満たさなければならない。

(2)日中にユニット部分の入居者に対するサービスの提供に当たる介護職員又は看護職員が、その時間帯においてそれ以外の部分の入所者に対してサービスの提供を行う勤務体制とすることは、望ましくない。

5 一部ユニット型特別養護老人ホームのユニット部分については第5に、また、それ以外の部分については第1から第4までに、それぞれ定めるところによる。

第7 地域密着型特別養護老人ホーム

1 第5章の趣旨

(1)「地域密着型」の特別養護老人ホームは、小規模でより地域に密着した居住環境の下でケアを行うことに特徴があり、これまでの特別養護老人ホームとは一部異なることから、その設備及び運営に関する基準については、第5章の定めるところによるものである。

(2)地域密着型特別養護老人ホームの形態は、次のようなものが考えられる。

 ・単独の小規模の特別養護老人ホーム
 ・本体施設のあるサテライト型居住施設
 ・指定居宅サービス事業所(指定通所介護事業所、指定短期入所生活介護事業所等)や指定地域密着型サービス事業所(指定小規模多機能型居宅介護事業所等)と併設された小規模の特別養護老人ホーム
 これらの形態を組み合わせると、本体施設+地域密着型特別養護老人ホーム(サテライト型居住施設)+併設事業所といった事業形態も可能である。

(3)サテライト型居住施設とは、本体施設と密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営される地域密着型特別養護老人ホームをいう。また、本体施設とは、サテライト型居住施設と同じ法人により設置され、当該施設に対する支援機能を有する特別養護老人ホームをいう。
 また、サテライト型居住施設を設置する場合、各都道府県が介護保険事業支援計画において定める必要利用定員総数の範囲内であれば、本体施設の定員を減らす必要はない。ただし、各都道府県では、同計画の中で、特別養護老人ホームを始めとする介護保険施設の個室・ユニット化の整備目標を定めていることを踏まえ、サテライト型居住施設の仕組みを活用しながら、本体施設を改修するなど、ユニット型施設の整備割合が高まっていくようにする取組が求められる。

2 設備の基準(基準第55条)

(1)基準第55条第6項第1号は、地域密着型特別養護老人ホームにあっては入所者や職員が少数であることから、廊下幅の一律の規制を緩和したものである。
 ここでいう「廊下の一部の幅を拡張すること等により、入所者、職員等の円滑な往来に支障が生じないと認められるとき」とは、アルコーブを設けることなどにより、入所者、職員等がすれ違う際にも支障が生じない場合を想定している。
 また、「これによらないことができる。」とは、建築基準法等他の法令の基準を満たす範囲内である必要がある。
 このほか、地域密着型特別養護老人ホームの廊下の幅については、第2の1の(4)を準用する。

(2)基準第55条第7項で定める「密接な連携を確保できる範囲内」とは、通常の交通手段を利用して、おおむね15分以内で移動できることを目安とする。

(3)地域密着型特別養護老人ホームにおける設備の基準については、前記の(1)及び(2)によるほか、第2の1((5)及び(13)を除く。)を準用する。この場合において、第2の1中「第11条」とあるのは「第55条」と読み替えるものとする。

3 職員数

(1)職員については、適切な地域密着型特別養護老人ホームの運営が確保されるよう、第56条に定めるところにより、それぞれ必要な職員数を確保すること。

(2)サテライト型居住施設の生活相談員及び看護職員は、常勤換算方法で1以上の基準を満たしていれば非常勤の者であっても差し支えない。

(3)サテライト型居住施設は、本体施設との密接な連携が図られるものであることを前提として人員基準の緩和を認めており、本体施設の職員によりサテライト型居住施設の入所者に対する処遇等が適切に行われることを要件として、医師、栄養士、機能訓練指導員、調理員、事務員その他の職員をサテライト型居住施設に置かないことができる。

(4)地域密着型特別養護老人ホームに指定短期入所生活介護事業所、指定通所介護事業所、併設型指定認知症対応型通所介護事業所等が併設される場合については、処遇等が適切に行われる場合に限り、それぞれ次のとおり人員基準の緩和を認めている。

 [1] 指定短期入所生活介護事業所又は指定介護予防短期入所生活介護事業所に置かないことができる人員
  ・医師
  ・生活相談員
  ・栄養士
  ・機能訓練指導員
  ・調理員、事務員その他の職員

 [2] 指定通所介護事業所又は指定介護予防通所介護事業所に置かないことができる人員
  ・生活相談員
  ・機能訓練指導員

 [3] 指定認知症対応型通所介護事業所又は指定介護予防認知症対応型通所介護事業所に置かないことができる人員
  ・生活相談員
  ・機能訓練指導員

(5)地域密着型特別養護老人ホームには、指定居宅サービス事業所や他の指定地域密着型サービス事業所を併設することができるが、指定短期入所生活介護事業所等を併設する場合は、施設全体が地域密着型サービスの趣旨に反して過大なものとならないよう、併設する指定短期入所生活介護事業所等の入所定員は、当該地域密着型特別養護老人ホームの入所定員を上限とする。
 なお、地域密着型特別養護老人ホームに指定通所介護事業所、指定小規模多機能型居宅介護事業所等を併設する場合は、特に定員の上限はない。

(6)平成18年4月1日に現に併設する指定短期入所生活介護事業所等の定員が地域密着型特別養護老人ホームの定員を超えているもの(建築中のものを含む。)については、第56条第13項の規定は適用しない。この場合において、平成18年4月1日に現に基本設計が終了している事業所又はこれに準ずると認められるものについても、同日に現に「建築中のもの」として取り扱って差し支えない。なお、「これに準ずると認められるもの」とは、平成18年4月1日に現に指定短期入所生活介護事業所等の事業者が確定しており、かつ、当該事業者が当該事業の用に供する用地を確保しているものであって、平成18年度中に確実の建物の着工が見込まれる程度に具体的な構想に至っていると市町村長が認めるものをいうものとする。

(7)基準第56条第14項は、指定小規模多機能型居宅介護事業所と地域密着型特別養護老人ホーム双方に、それぞれの人員に関する基準を満たす職員を置いているときは、職員はそれぞれの事業所の業務に従事できるということであり、地域密着型特別養護老人ホームに移行してからもなじみの関係を保てるよう、指定小規模多機能型居宅介護事業所と当該地域密着型特別養護老人ホームは、人員としては一体のものとして、運営することを認めたものである。

4 介護

(1)基準第57条第7項の規定は、常時1人以上の介護職員を従事させればよいこととしたものであり、非常勤の介護職員でも差し支えない。

(2)地域密着型特別養護老人ホームにおける介護については、前記の(1)によるほか、第4の4の(1)から(6)までを準用する。この場合において、第4の4中「第16条」とあるのは「第57条」と読み替えるものとする。

5 地域との連携等

(1)基準第58条第1項に定める運営推進会議は、地域密着型特別養護老人ホームが、入所者、市町村職員、地域住民の代表者等に対し、提供しているサービス内容等を明らかにすることにより、事業所による入所者の「抱え込み」を防止し、地域に開かれたサービスとすることで、サービスの質の確保を図ることを目的として設置するものであり、地域密着型特別養護老人ホームが自ら設置すべきものである。
 この運営推進会議は、地域密着型特別養護老人ホームの認可申請時には、既に設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要となるものである。
 また、地域の住民の代表者とは、町内会役員、民生委員、老人クラブの代表等が考えられる。
 なお、地域密着型特別養護老人ホームと指定小規模多機能型居宅介護事業所等を併設している場合においては、1つの運営推進会議において、両事業所の評価等を行うことで差し支えない。

(2)運営推進会議における報告等の記録は、2年間保存しなければならない。

(3)基準第58条第3項は、地域密着型特別養護老人ホームの運営が地域に開かれたものとして行われるよう、地域密着型特別養護老人ホームは、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

(4)同条第4項は、基準第2条第4項の趣旨に基づき、介護相談員を派遣する事業を積極的に受け入れる等、市町村との密接な連携に努めることを規定したものである。なお、「市町村が実施する事業」には、介護相談員派遣事業のほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。

6 準用

 基準第59条の規定により、第2条から第9条まで、第12条の2から第15条まで、第17条から第29条まで及び第31条の規定は、地域密着型特別養護老人ホームについて準用されるものであるため、第1の1から9まで、並びに第4の1から3まで、5から15まで及び17を参照すること。

第8 ユニット型地域密着型特別養護老人ホーム

1 第6章の趣旨

「ユニット型」の地域密着型特別養護老人ホームは、小規模でより地域に密着した居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うことに特徴があり、これまでのユニット型特別養護老人ホームとは一部異なることから、その設備及び運営に関する基準については、第6章の定めるところによるものである。

2 設備

 ユニット型地域密着型特別養護老人ホームにおける設備については、第2の1((5)及び(13)を除く。)、第5の4及び第7の2((3)を除く。)を準用する。

3 介護

(1)基準第62条第8項の規定は、常時1人以上の介護職員を従事させればよいこととしたものであり、非常勤の介護職員でも差し支えない。

(2)ユニット型地域密着型特別養護老人ホームにおける介護については、前記の(1)によるほか、第4の4の(3)から(6)までを準用する。

4 準用

 基準第63条の規定により、第3条から第6条まで、第8条、第9条、第12条の2から第14条まで、第18条、第20条から第23条まで、第26条から第29条まで、第31条、第33条、第34条、第36条、第38条から第41条まで及び第58条の規定は、ユニット型地域密着型特別養護老人ホームについて準用されるものであるため、第1の2から5まで及び7から9まで、第4の1、2((2)を除く。)、6、8から10まで及び12から15まで、並びに第7の5を参照すること。

第9 一部ユニット型地域密着型特別養護老人ホーム

1 第7章の趣旨

 一部ユニット型地域密着型特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準については、第7章の定めるところによるものである。

2 一部ユニット型地域密着型特別養護老人ホームのユニット部分については第8に、また、それ以外の部分については第7に、それぞれ定めるところによる。

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